では直接原価計算の続きです。
直接原価計算は原価を変動費と固定費に分けて計算しますが、そうすると、損益計算書の形もふつうのもの(全部原価計算の損益計算書)とは異なってきます。

ふつうの損益計算書(全部原価計算の損益計算書)は…

全部原価計算の損益計算書

営業利益までですが、こんな感じですね。

これに対して、直接原価計算の損益計算書は…


直接原価計算の損益計算書

 
こんな感じ(営業利益まで)になります。

はい、直接ゲンケーのほう、注目してください。
売上高から変動売上原価を差し引いた金額(利益)を変動製造マージンといいます。
変動売上原価は変動製造原価から計算します。
たとえば、月初製品が0個、当月完成品が10個、月末製品が2個だった場合、当月に販売した数量はいくつでしょうか?
当月に完成したのが10個で、そのうち2個が売れ残ったのだから、当月に販売した数量は8個ですよね。

では完成品1個あたりの製造原価(変動製造原価)が20円だったとしたら、変動売上原価はいくらになりますか?
20円×8個=160円ですよね。

ちなみにこの製品を1個当たり100円で販売していたとするなら、売上高はいくらでしょう?
100円×8個=800円ですね。

では、上記の設定で、変動製造マージンはいくらになりますか?
800円-160円=640円ですね。

で、この変動製造マージンから、こんどは変動費のうちの販売費(変動販売費)を差し引くのです。ここで差し引いて出てきた金額(利益)を貢献利益(こうけんりえき)といいます。貢献利益は、売上高から変動製造原価と変動販売費、要するに変動費を差し引いた金額です。
 
「固定費の回収に貢献している部分の利益ですよ」という意味で貢献利益というようですが、そんなことよりも、「売上高-変動費=貢献利益」というのだけ、おさえておいてください。

そして、最後に貢献利益から固定費をババッと差し引いて営業利益を計算します。

このときの固定費は、固定販売費だろうが、固定製造原価だろうが、すべてその月(期)に発生した金額を差し引きます
 
たとえば、固定製造原価が200円発生していたとします。当月の生産量は10個、当月の販売量は8個です、といった場合、ついつい200円÷10個=20円 → 20円×8個=160円・・・だから固定製造原価は160円、としてしまいたくなるのですが、こういう計算はしません。直接原価計算の場合、固定費といったら、発生額200円を計上します。
 
直接原価計算、固定費

 
まずは、ここまでおさえておきましょう。
「変動製造マージン」とか「貢献利益」とか、たま~に書かせる問題が出るから、ちゃんと書けるようにしておいてくださいね。
それから、たまに意地悪?で「変動売上原価」とか「固定費」とか、「え?、そっち聞く?」ということもある(あったような気がする)ので、この表を覚えておくのがいいかも。
ここまでの内容で、テキスト、直接原価計算の前半部分がすんなり読めるかと・・・。

ちなみに、「簿記の教科書」では、このあとに「固定費調整」という、理解するのも、説明するのも、ちょいメンドイ内容が入っています。時間がない人はサックリ飛ばして、次(CVP分析)に行きましょう。
 


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