日商簿記3級のテキスト内容で、「わかりにくい」のひとつが売上原価(うりあげげんか)です。
売上原価というのは、当期に売った商品の原価=買ったときの金額のこと。100円で買ってきたものを150円で売ったら、売上原価は100円となります。
これだけだと単純明快なのですが、簿記では在庫があったり、仕入勘定を使って処理していたりするので、これがメンドクサイのです。
日商簿記3級や2級、1級では、一般的な商品売買の処理を三分法(さんぶんほう)という方法で行います。
三分法というのは、商品を売ったり、買ったりする取引については、「仕入」、「売上」、「繰越商品」の3つの勘定で処理するよ、というもの。
もう少し詳しくいうと、商品を仕入れてきたら(買ってきたら)「仕入」、商品を売り上げたら「売上」、在庫は「繰越商品」で処理する方法です。
「仕入」「売上」「繰越商品」・・・・・・この3つの中に「売上原価」っていう文字がないでしょ?
だから、この3つの勘定(の金額)から「売上原価」を求めるんです。
ただ、売上原価を求めるにあたって、「売上」って使わないので、正確には「仕入」と「繰越商品」の2つの勘定から売上原価を求めることになります。
これを仕訳でやらなきゃいけないので、わかりづらく、メンドクサイんですね。
試験では、だいたいの場合、「売上原価は仕入勘定で算定する」という設定になっています。
これは「最終的に仕入勘定の残った金額が売上原価の金額だよ」ということ。
すごく簡単な例で、見ていきましょう。
たとえば
①今日、リンゴ500円分を買ってきました(支払いは現金)。
という場合、仕訳は
(借)仕入 500 (貸)現金 500・・・A
となりますよね。
②今日の夕方、閉店後にみたら100円分のリンゴが残っていました。さて、今日の売上原価を算定するための仕訳はどうなるでしょう?
専門的な言葉でいうと、「決算で行う処理はどうなりますか?」ということです(通常、会計期間は1年ですが、ここでは会計期間を1日としています)。
三分法では、決算において、在庫分を「仕入」から「繰越商品」に振り替えます。
「振り替える」というのは、「移動させる」ということです。
100円分のリンゴが残っているのだから、繰越商品(明日に繰り越す商品)は100円ですね。
この「繰越商品」は資産の勘定科目なので、借方に記入します。
(借)繰越商品 100
そして、貸方は「仕入」となります。そうすると仕訳(決算時の仕訳)は
(借)繰越商品 100 (貸)仕入 100・・・B
となります。
さて、Aの仕訳とBの仕訳をみると、「仕入」が2つ出てきますね。しかも左右に。
も一回、仕訳をみてみます?
①(借)仕入 500 (貸)現金 500・・・A
②(借)繰越商品 100 (貸)仕入 100・・・B
そうすると、最終的に仕入勘定に残った金額はいくらになるでしょう?
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500円-100円=400円ですね。
この、最終的に仕入勘定に残った金額(400円)が売上原価ということになります。
これが「売上原価は仕入勘定で算定する」ということです。